☆ムマン☆地球の直径両極地点で同時刻に起こったヴェクトル美

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深夜の沙漠(さばく)での出来事。
あたり一面、360度の砂地に巨大で面妖な月がかかった。
細い細い、今しがた地平線から産まれたばかりの下弦(かげん)の眉月であったが、両の目に映る砂丘の稜線(りょうせん)の左右、端から端までぎりぎり一杯、180度ほどの距離に離れて基底を持つ鋭角の光の頂点が、砂地からほんの少うし、そう、小さな小さな砂粒ひとつ!浮かびながら、僅(わず)かで微(かす)かだが力強くしなやかに、くっきりと充実した空間を魅せている。
月は、美しい円弧(カーヴ)を両際の双点(そうてん)から上空へと描いて、左右の切っ先を地平線すれすれに漂(ただよ)わせているまま何時間も、その冷たく穏(おだ)やかに放たれた光と朋に、沙漠を優しく懐擁(かいいだ)くような仕種(しぐさ)で、全貌(ぜんぼう)を微動だにしないのであった。
Ω(オーム・オメガ)の文字を天地に創出させた地点のそのちょうど裏側、夜明け前の大海原に異様な光景が現出した。
沙漠に浮かんだ眉月と同等に、これまた巨大で細い細い上弦の弓張り月が、彼(か)の地とは正反対に、弧線の中央を海洋の波頭にふれるかふれないかの際どい芸当を演じながら、時間を停止させたようにいつまでも、両の切っ先を天空に向けてそそり立っていた。

この二つの怪異な光景は似て非なる現象である。
沙漠の月は、永い永い闇を切り裂いて佇(たたず)んではみたものの、月自身が氣付いた時には、もう既にそこに在るという真実に氣付いていないのであったが、大洋の月は、誰にも氣付かれず、そこに存在している何かを月自身が知る事は出来ないという事を知っていたに違い無いのだ。
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by hitohiso | 2013-01-03 17:55